
- BUS(バス)の使い方がよく分からない
- たくさんのトラックが整理できずに散らかってしまう
- BUSの具体的な使い方が分からない
こんな人へ向けて書いています。
この記事を読むとわかること
- BUSの使い方がわかる
- トラックを整理して快適に作業できるようになる
- さらに深掘りしてBUSの活用方法が具体的に分かる
この記事を読んですぐに活用できるように、具体的な使い方をたくさん用意しました。
ぜひLogicを触りながらためしてみてください。
記事の内容
- そもそもBUS(バス)ってなに?
- BUSを使うと何が便利なの?
- まずはここから!BUSの作り方
- バスはどうやって使うの?
- プリフェーダー・ポストフェーダー・ポストパン?
- 具体的な例で使い方を紹介します
そもそもBUS(バス)ってなに?
BUS(バス)は自動車の「バス」と同じようなイメージです。
「バスにみんなで乗って移動する」のと同じように、LogicのBUSも「音声信号をバスに乗せて他の場所(トラック)に移動する」と考えるとわかりやすいです。
もう少し詳しく意味を知りたいので辞書を引きました。
バス 1bus
① 大勢の人を乗せることのできる大型自動車。乗り合い自動車。
② コンピューターの内部で制御部・メモリー部・入出力部を並列に接続している回線。各部間のデータのやりとりはこの回線を通じて行われる。出典元:macOSに搭載されている辞書アプリ
LogicでのBUSは、信号の送り先や配線のことを指します。
文章にするとむずかしく感じますが、実際にLogicを触って操作してみると簡単です。
このBUSはいろいろな用途で使えます。
さらに詳しく見ていきます。
BUSを使うと何が便利なの?
整理整頓
たくさんあるトラックの整理整頓に使えます。
BUSでまとめると、まとめて音量操作もできてラクになります。
例えばドラム音源をマルチ出力で使っているときは、トラック数が多くなります。
Kick In
Kick Out
Kick Sub
Snare Top
Snare Bottom
Hihat
Tom H
Tom M
Tom L
Tom Floor
...など
このときに
Kickを1トラックにまとめる
スネアを1トラックにまとめる
として、BUSでまとめることができます。

エフェクトを共有できます
BUSを使うとエフェクトを共有できます。
トラック1つずつにリバーブを挿していくと、管理が面倒です。

リバーブの種類が同じならば、それぞれのトラックからセンドで送るとリバーブを共有することができます。
あとで紹介する「センド」を使えば送る量も個別に調整できます。

「このトラックはちょっとだけ送る」
「このトラックは多めに送る」
などの調整ができます。
CPU負荷を減らせます
BUSを使うと、エフェクトを共有した結果、CPU負荷の軽減に役立ちます。
例えばリバーブプラグインなどはCPU負荷が高いものが多いです。
1トラックごとにリバーブを挿入するとすぐにCPUを使い切ってしまいます。
そこでBUSを使って1個のリバーブを共有すれば、負荷はリバーブ1個分だけです。
複数のアウトプット用のモニター管理ができます
ボーカルのレコーディングや、ライブで同期演奏をおこなうときのモニター管理ができます。
「奏者それぞれに個別のヘッドホンミックスを送る」ようなことができます。
例えばボーカルレコーディングのときは
- ボーカリストにとって歌いやすいミックスバランスを送る
- DAWを操作する人には普段のミックスバランスで送る
などのことができます。
また、ライブで同期演奏をするときも同じように、ドラマーのヘッドホンにはウワモノを送る量を減らす、などの処理ができます。
ここから先は実際にLogicを使った操作方法を紹介しています。
用途別の具体的な使い方も紹介します。
まずはここから!BUSの作り方
1 オグジュアリートラックを作る
まず、オグジュアリートラックを作ります。
聞き慣れない言葉が出ましたが大丈夫です。
「オグジュアリートラック=バスを受け取るためのトラック」です。
「バストラック」と呼んでも良いのですが、ここではLogicの慣習に合わせて「オグジュアリートラック」と呼ぶことにします。
Logicのミキサー画面から「オプション」→「新規オグジュアリー・チャンネル・ストリップを作成」を選択します。
キーコマンドは「Control + N」です。

新しく「Aux1」というトラックが生まれました。

2 バス番号を設定する
つぎはバス番号を設定します。
先ほど作った「Aux1」のインプット部分をクリックして「Bus」→「Bus1」を選択します。
ここでは例として「Bus1」を選択しましたが、Bus2やBus64など、どの番号を選んでもOKです。
3 エフェクトを挿入する
つぎにAux1にエフェクトを挿入します。
ここでは「Space Designer」を挿入しました。
Space Designerには「Dry」「Wet」の分量を決めるツマミがあります。
ここではエフェクトがかかった音だけを得たいので、原音(Dry)をゼロにしています。

バスを作ることができました。
バスはどうやって使うの?
BUSは2つの送り方(使い方)があります。
- センドで送る
- アウトプットの出力先をバスにする
それぞれ見ていきます。
1 センドで送る
センドは、リバーブなど、共有したいエフェクトがあるときに使います。
先ほど作ったAux1(リバーブエフェクト)にセンドを使って信号を送ってみます。
ミキサー画面の「Sends」をクリックして、先ほど設定したバス番号(この例ではBus1)を選びます。
そうするとセンドの横にツマミが追加されます。


このツマミを上下させると送る量を変えることができます。
2 アウトプットの出力先をバスにする
アウトプットをバスに設定すると、複数の信号をまとめることができます。
ドラムなどのマルチトラックをまとめるときに使います。
ミキサーの出力スロットをクリックしてBUSを選択すると、バスに送ることができます。

プリフェーダー・ポストフェーダー・ポストパン?
センドでバスに信号を送るときに、送り方を3種類から選ぶことができます。
- プリフェーダー
- ポストフェーダー
- ポストパン

やりたいことによって送り方にも違いが出てきます。
それぞれの使い方を紹介します。
ポスト・フェーダー
フェーダーを通過したあとにバスへ送られます。
ポストは英語でPost。「そのつぎ」の意味があります。
送り元トラックのフェーダー量の影響を受けます。
音源→フェーダー→センド

プリフェーダー
フェーダーを通る前にバスへ送られます。
プリは英語でPre。「その前に」の意味。
音源→センド

ポストパン
パンを通ったあとにバスへ送られます。
センドに対してPANを反映させたいときに使用します。
フェーダー→パン→センド

具体的な例で使い方を紹介します
ドラムのトラック整理
ドラムキットの各パーツの出力先をバスに設定して、整理整頓をおこないます。
色分けをしてみました。バスの番号を追いかけていくと見やすいです。

Kick In
Kick Out
Kick Sub
↓
Kick
Snare Top
Snare Bottom
Snare Rim
↓
Snare
こんな感じでまとめていきます。
最後にドラムキット全体をまとめます。
Kick
Snare
↓
Drums
ベースのD.Iとアンプの音を混ぜるとき
ベースのD.Iのトラックからセンドで送ります。
プリフェーダーで送ると、D.Iとアンプそれぞれのボリューム調整がしやすくなります。

スネアのパラレルコンプやサチュレーション
センドで送るとスネアにパラレルコンプやパラレルサチュレーションをかける用途に使えます。

スネアの音量に追従させたいので、ポストフェーダーで送っています。
バスの受け手は同じものをいくつも作ることができます。
レコーディングのモニター管理
レコーディングのとき、ボーカル用に歌いやすいモニターを作ることができます。
ボーカル用のヘッドホンアウトプットに対してセンドで各トラックを送ります。
すべてのトラックをセンドして、ポストフェーダーで0dBFSで送ります。
その後、ボーカルさんの歌いやすいように各トラックのセンド量を調整します。

BUSを使うときに便利なワザ
Shift+クリックでセンドの送り先を教えてくれます
「センドをどこに送ったか迷子になった」
こんなときは、Shiftを押しながらセンドをクリックすると、送り先が光って教えてくれます。

I/Oラベルで見やすくできる
「Bus1」「Bus16」などの番号ではわかりにくいです。
「I/Oラベル」を使うと、バスにわかりやすく名前を付けることができます。

I/Oラベルの設定方法は別の記事にまとめています。
受け手は複数作ることができる
バスの受け手は、同じものを複数作ることができます。
パラレルコンプ・パラレルサチュレーションをするときに便利です。

まとめ
BUSの使い方を知ると、できることが広がります。
Logicを使い始めの頃はバスとか信号の筋道がよく分からなかったので、1トラックずつにリバーブを挿していました。
「え、なんでこんな面倒なん…」
といいながら。
ぜひこの記事を読んで役に立ててもらえたら嬉しいです!
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